新型コロナウイルス感染症
社員が陽性者と判定された場合の対応

 

(本欄は2022年8月5日に記載しました。)

濃厚接触者に対する行動制限方針が7月22日から大幅に変わりました。

それまでは待機期間は7日だったものが、5日に短縮され、また、

5日間を待たずに、待機を解除する場合の対応についても明示されました。

抗原検査で2,3日目で陰性の場合に待機解除となります。

 

ハイリスク施設でない職場の場合は、陽性者が発生した場合も、原則保健所への連絡は行わない様になりました。(陽性者が複数名発生するなど、施設内において感染が拡大していると考えられ る場合に保健所に感染防止対策等について相談することは可能です。 また、事業所等において 5 名以上発生した場合等、必要に応じ、保健所等の判断により積極的疫学調査が実施されます。)

 

 感染者と接触があったことのみを理由として出勤を含む外出を制限する必要はないとされ、陽性者と事業所等内において接触があったと考えられる場合については、               接触のあった最後の日から一定の期間 (目安として7 日間)はハイリスク者との接触やハイリスク施設への訪問、不特定多数の者が集まる飲食や大規模イベントの参加等の感染リスクの高い行動を控えるよう、事務所内に周知します。

また、事業所等で感染者と接触があった者のうち、会話の際にマスクを着用していなど、感染対策を行わずに飲食を共にしたもの等は、5 日間の外出自粛や 5 日目に自主的な検査を実施するとされました。

 

※前提知識※

濃厚接触者の定義

 陽性者と、感染の可能性のある期間(※)に接触し、以下の範囲に該当する人

  ・陽性者と同居あるいは長時間の接触があった者

  ・手で触れることができる距離(1メートル)で、必要な感染予防策なしで、

   15分以上接触のあった者

  ・気道分泌物もしくは退役などの汚染物に直接触れた可能性のある者

  ・適切な感染防護無しに、陽性確定者を診察、看護若しくは介護していた者

 ※感染可能期間

  ・新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈した2日前から

   退院又は宿泊療養・自宅療養の解除の基準を満たすまでの期間(有症状者)

  ・陽性確定に関わる検体採取日の2日前から

   退院又は宿泊療養・自宅療養の解除の基準を満たすまでの期間(無症状者)

 

(本欄は2021年8月31日に記載した内容の一部を2022年1月24日に修正しました)

陽性者本人に対しては保健所から対応が指示されます。

一方で、濃厚接触者の調査等、会社がすべき対応については、保健所からの指示が遅かったり、具体的な指示がないことも多いと聞いています。

社内での感染を広げないため、社員に安心して働いてもらうため、そして陽性判定されたご本人がスムーズに職場復帰するために、会社が主体となった取組をスピーディーに実施いただくことが大切です。
以下、会社が実施すべき取組を記載します。

 

 

 

 ※濃厚接触者の職場復帰の目安

  健康観察期間の終了日は、

   感染可能期間内に患者と接触した最終日(最終接触日)の翌日から7日間 です。

  患者と生活を共にする家族や同居者の最終接触日については以下のとおりです。

   「患者の発症日(患者が無症状の場合は検体採取日)」又は
   「患者の発症等により家庭内で感染対策を実施した日」のどちらか遅い方を
   最終接触日とします。 

  ・ただし、家庭内の他の家族が発症した場合や、無症状であった患者が発症した場合は
   その発症日が最終接触日となります。
  ・家庭内での感染対策とは、マスク着用、手洗い・手指消毒の実施、日用品の共用

   避ける、患者が触る場所の消毒など、日常生活を送るうえで可能な範囲の対策です。

  • 1
    情報収集

 本人から、陽性判定された経緯を聞き取ります。

 最初に「本人には安心して療養してもらいたい」と伝えることをしっかり伝えましょう。 たとえ症状が軽かったとしても、本人は不安を感じているはずです。会社に迷惑を掛けてしまったのでは?と心配になっていたり、療養が続くことに対して不安を感じていたりします。安心して療養に専念してもらう様に伝え、必要に応じて、療養生活にあたって物資等での不安を解消することも大切です。

【最低限 聞き取りが必要な情報】

① 発症日

② 最終出勤日

③ 発症の2日前までに、飲食、会話、会議をした人                                 
  (1m以内で15分以上、マスク着用は問わない。)
  ※保健所が指定する濃厚接触者の定義よりも、幅を広げて考えましょう※

【聞き取り時の留意点】

①本人からの情報収集は「業務の範疇」のみとして、会社の行き帰りや休日等に家族と友達と 何をしていたか等の確認は行わないようにしましょう。

②上記③の対象者に”体調不良等がないか”を確認すべく状況を伝えて良いかを確認します。   
職場の感染拡大防止を目的とすることをしっかりと説明し、なるべく本人の了解を得る様に努めてください。

  • 2
    要管理者の特定

 聞き取り内容に基づき、会社から直接、働きかける人(「要管理者」といいます)を特定します。陽性者の発症前日や発症後に、換気が不十分な環境で打合せしていた、マスクを外して、食事を一緒の場所で食べた等、濃厚接触者に該当する可能性が高いメンバーを「要管理者」として特定します。

 「要管理者」と特定した社員に対しては個別に連絡を取り、
感染者との最後の接触から10日間健康観察と自宅待機を求めます
既に発熱等の症状がある場合や、待期期間に発症した際は、速やかに医療機関を受診する様に促しましょう。

  • 3
    伝達方針の決定&発表

 上記活動を迅速に実施することで、感染拡大を防げるはずです。次に、それ以外の社員に対する対応に移ります。
 陽性者が発生したことを、社内にどの様に伝えるかを決定し、発表します。

 具体的な方法は、企業規模や事業所数等により当然に異なりますが、会社の状況に応じて 「できるだけ詳細」且つ「広範囲」に方針を伝えるのが良いと個人的には考えます。
 ①本人からヒアリングした感染経緯②他社員の感染状況(要管理者での発症者の有無)③会社が実施していることを、しっかり伝えることが大切です。

 社員は「自分が感染している恐れはどの程度あるのだろうか?」を知りたいはずです。社員一人ひとりがこの点を判断できるだけの情報は提供すべきです。要管理者に該当していない人は、感染している可能性は少ないはずですので、この点をしっかりと伝えて、安心してもらうことが大切です。その上で「会社は感染拡大防止策をしっかりと取っているので大丈夫だ!」と感じて貰える様に、対処方針を伝えましょう。

  • 4
    感染防止策の再徹底

 社内で「要管理者」を増やさないために、社内での感染防止策を徹底します。ここまでの対応を検討する中で、発見できた対応課題があれば確実に対処しましょう。
 最初に判明した陽性者が必ずしも最初に感染したとは限りません。また、感染者がこれだけ増加している状況では、いつ他の社員が感染するかもわかりません。

・社内での飲食の場面では黙職とする。
・オンライン会議を基本とし、大人数での会合は極力実施しない。
・電話をする際も必ずマスクをする。
・同僚等の車に同乗する機会をなるべく減らす 等の対応を検討しましょう。

  • 5
    新型コロナ感染症に関する情報発信

 感染防止策を徹底する場合、社員の新型コロナ感染症に関する知識レベルに応じて対応を変える必要があります。「新型コロナ感染症に対するリテラシー」を上げる必要があります。
会社として、信頼できるリソースからの情報を定期的に社員に発信することが大切です。

新型コロナウイルス感染症
社員の家族が陽性者と判定された場合の対応

 家族が陽性者になった場合、保健所から本人に対する指導がなされるはずです。本人と連絡を取り、保健所の指導に従う様にしっかりフォローすることが大切です。

 一定期間の行動制限が求められることがあります。その間、業務がスムーズに実施される様に、事前に対応を準備しておく必要があります。社内での検討が不十分な場合は、早急に検討することをお薦めします。

 

 会社としての対応が求めらえるのは「本人の家族が濃厚接触者」と判定された時です。
「濃厚接触者の濃厚接触者」は「外出制限や、出勤制限は不要」というのが厚労省の見解です。但し、家族が感染している場合には、本人も感染している可能性も高いので、濃厚接触者と同様の対応をすることが好ましいと言えます。

対応マトリックス

職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル
(日本産業衛生学会)より抜粋

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