豊富な経験と実績を持つ社会保険労務士が企業経営に関する悩みやニーズを解決いたします
採用力・組織力・企業力を高めたい
中小企業経営者をナビゲートします。
Sun cha(さんちゃ)社会保険労務士事務所
東京都世田谷区三軒茶屋・東急田園都市線 三軒茶屋から10分
対応エリア:東京23区、川崎市、横浜市、埼玉県南部
紹介している記事に表れている事象の多くは「 組織設計の問題」であることが多いです。
当事務所では、
・意思決定の整理
・管理職の役割設計
・業務の標準化
・AIによる再現化
を通じて、組織が自走する仕組みを構築します
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・なぜ組織が回らないのか
・何から手をつけるべきか
を明確にします。
管理職の質はなぜ社員の疲弊度を左右するのか
「良い上司」がいるかどうかで、社員の消耗度は変わる
ロンドン大学などの研究者が、欧州(2015年)と米国(2015年・2018年)の労働条件調査データを分析した。対象は約2万8000人の従業員である。上司の質は「部下への敬意」「適切な評価と称賛」「チームの統率」「的確な助言」「成長への支援」など7項目に対する部下の評価の合計点で測定された。分析の結果、欧米いずれの地域でも、質の高い上司のもとで働く人ほど仕事の強度が低く抑えられている傾向が示された。良い上司が、過大な要求から部下を守る防波堤として機能しているとの見方が示されている。この効果は、小規模な組織、民間企業、労働組合のない職場でより顕著に表れることも分かった。
出典:ITmedia
評価制度はなぜ挑戦を消すのか
その人事評価制度、社員の「挑戦」を密かに殺していませんか
人事コンサルタント松丘啓司氏(アジャイルHR代表)が、日本の人事部のコラムで、多くの企業が採用するMBO(目標管理制度)と成長戦略の間に根本的な矛盾があると指摘した。MBOは「達成率100%」を評価基準とする仕組みであり、これはデフレ期のゼロサム競争に対応したものであって、現在求められる非連続な成長とは相容れないとする。経営が挑戦を求める一方、評価制度は確実な達成を求めるという矛盾が、従業員の挑戦意欲を阻害しているという分析である。解決策として、達成率60~70%でも成功と認めるストレッチ目標の容認、個人の行動が経営戦略をどれだけ前進させたかで評価する仕組みへの転換、OKRと1on1を組み合わせた高頻度フィードバックの導入、という3つの転換を提案している。
出典:日本の人事部
カスハラ対策の義務化で、管理職はなぜ試されるのか
クレーム対応も採用面接も社長頼み、その体制のまま10月を迎えていませんか
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行される予定である。今回の改正では、企業の規模を問わず、すべての事業主に対してハラスメント防止のための法的措置が新たに義務付けられる。対象となるのは、顧客や取引先からの著しい迷惑行為(激しい暴言、威圧的な要求、不当な謝罪要求など)を指すカスタマーハラスメント対策と、正社員に限らず、就職活動中の学生やインターンシップ参加者、業務委託契約を締結するフリーランスなど、直接雇用関係にない人材へのセクシュアルハラスメント防止措置の2点である。企業には、相談窓口の設置、対応マニュアルの策定、被害を受けた従業員へのメンタルヘルスケア体制の整備などが求められる。
出典:マイベストプロ
管理職になりたい社員はなぜ3割以下なのか
「管理職になりたくない」7割超が映す、権限なき責任というマネジメント設計のゆがみ
アデコ株式会社が実施した働き方に関する意識調査で、一般社員の76.7%が管理職に「なりたくない」と回答し、「なりたい」と答えたのは23.4%にとどまった。理由は「ストレスが大きそうだから」が78.0%で最多となり、「責任が増えそうだから」52.7%、「勤務時間が長くなりそうだから」46.3%、「残業代が出ないから」35.2%が続いた。管理職になりたくないと回答した層に、どのような条件であれば引き受けてもよいかを尋ねたところ、「給与・賞与の大幅な増額」が69.7%で最も多く、「労働時間の適切な管理と削減」42.1%、「役職に応じたインセンティブ」35.2%が上位に並んだ。また現職の管理職の約59.9%も、自身の職務を「損」だと感じている
ことが分かった。
出典:ITmedia ビジネスオンライン
今回の数字が示しているのは、単なる「管理職離れ」ではなく、管理職という役職の設計そのものが、権限を伴わない「責任だけを引き受ける立場」になっている企業が多いという実態です。中小企業の現場でよく見られるのは、管理職に昇格させても意思決定の権限や裁量はほとんど本人に渡さず、労働時間の管理や部下のフォローといった負荷だけを積み増していくパターンです。これでは給与を上げても一時的な不満の解消にしかならず、根本的な解決にはつながりません。経営者が本当に問い直すべきなのは「誰を管理職にするか」ではなく「管理職という役割に、どこまでの権限移譲を設計できているか」という点です。評価軸を「部下を管理できているか」から「チームの成果と育成にどれだけ寄与したか」へ再設計し、権限移譲とセットで管理職ポストを再定義することが、昇進辞退を防ぐ最も現実的な打ち手になります。管理職になりたくない社員が7割という数字を、人手不足の裏返しとしてではなく、組織の権限設計を見直す好機として捉え直せるかどうかが、今後の定着率を左右します。
【企業の対応アクション】
・管理職の職務内容を「管理業務」から「権限移譲された意思決定と育成責任」へ書き換える
・管理職昇格時に決裁権限や予算権限など、委譲する権限の範囲を明文化する
・管理職の評価項目に「部下の定着率」「育成実績」を加え、成果と育成基準へ
評価軸を再設計する
・管理職手当やインセンティブ制度を、負荷に見合う水準へ点検・改定する
・昇格前の面談で、候補者に付与される権限の内容を具体的に説明する
女性管理職ゼロ企業はなぜ4割を超えるのか
「女性管理職が育たない」の本当の理由は実は管理職という役割そのものの定義にあります。
帝国データバンクが実施した調査によると、全国2万2350社における女性管理職の平均割合は11.3%となり、過去最高を更新した。ただし前年比の上昇幅は0.2ポイントにとどまり、伸びは鈍化している。同調査で最大の課題として挙げられたのは、女性管理職が一人もいない企業が42.1%に上る点である。要因として「社員数が少なく、管理職ポストが2人などに限られる」という回答が多く、特に小規模企業では登用機会そのものが乏しい実態が明らかになった。企業規模別に見ても、大企業における女性管理職割合は8.9%にとどまり、1割に届いていない。女性管理職割合が30%以上の企業数もわずかに減少しており、裾野拡大の停滞が指摘されている。
出典:帝国データバンク
多くの経営者は、この数字を「女性活躍が進んでいない」という人事上の遅れとして受け止めがちです。しかし本質的な論点はそこにはありません。「社員数が少なく管理職ポストが限られる」という回答は、裏を返せば管理職という役割が、能力ではなく空きポストの有無で決まっていることを示しています。管理職とは本来、役職ではなく「何を任せるか」という権限移譲の単位であるはずですが、多くの中小企業では役職の数だけが管理職の定義になっています。この構造が続く限り、女性に限らず若手や中途社員にも登用機会は広がりません。今回のデータは、女性活躍を進める好機であると同時に、管理職の定義そのものを「役職の枠」から「任せる業務・権限の単位」へ組み替える契機と捉えるべきです。役職を増やせない中小企業でも、権限移譲の単位を細分化すれば、登用機会は役職者の数以上につくり出せます。
【企業の対応アクション】
・現在の管理職の役割を役職名ではなく「任せている業務・権限」の一覧に書き出す
・役職を増やさずに権限移譲できる業務単位を洗い出す
(プロジェクトリーダー・特定領域の責任者など)
・登用基準が在籍年数や空きポストの有無に偏っていないか評価制度を確認する
・性別を問わず次期管理職候補に、権限移譲の単位を試験的に任せる機会を設ける
「名ばかり管理職」に東京地裁が待った 工場長の管理監督者性否定判決
その役職者、本当に「管理監督者」ですか。東京地裁判決が問う管理職の実態
令和8年8月20日、東京地裁(堂薗幹一郎裁判長)は、自動車販売会社・日産東京販売の店舗で工場長を務めていた労働者が過労自殺した事案について、労働基準監督署の支給決定処分を取り消す判決を言い渡しました。労基署は当該労働者を労働基準法上の「管理監督者」に該当すると判断し、残業代を含めない賃金額を基に労災給付額を算定していましたが、東京地裁はこれを覆しました。判決では、労働者の部下は1人のみで、人事考課権は一次評価にとどまり最終決定権がなく、採用権限も付与されていなかった点を指摘し、「重要な人事管理権限を有していたとはいえない」と判断しています。
出典:労働新聞社
今回の判決が問いかけているのは、残業代の計算方法だけではありません。管理監督者性の判断基準は、肩書ではなく「経営者と一体的な立場で、人事・労務について実質的な権限を持っているか」です。工場長という名称があっても、部下の評価を最終決定できず、採用にも関与できないのであれば、実態は現場リーダーに過ぎません。中小企業では、この「名ばかり管理職」構造が特に起こりやすいと感じます。社長がすべての最終決定を握ったまま、役職だけを与えて残業代の対象から外してしまうケースです。ここで見落とされがちなのは、これが単なる法令違反リスクにとどまらず、組織が機能しない根本原因でもあるという点です。決定権のない管理職は、部下から見ても「相談しても意味がない」存在になり、現場の意思決定が滞ります。今回の判決を機に取り組むべきは、残業代の再計算だけではありません。どの役職に、どこまでの決定権を渡すのかを言語化し直すことです。人事評価の最終権限、採用への関与、予算執行の裁量を明文化して初めて、管理職は名実ともに経営の一翼を担う存在になります。それは法令対応であると同時に、社長一人に権限が集中した組織から抜け出す好機でもあります。
【企業の対応アクション】
・管理職の役職者について、人事考課の最終決定権・採用権限・予算執行権限の有無を
一覧化する
・「管理監督者」として残業代を除外している役職者を洗い出し、実態と処遇が一致して
いるか点検する
・実質的な決定権がない役職者は、割増賃金の支払い対象への切り替えを検討する
・管理職に権限を持たせる場合は、評価権限・採用関与・予算裁量の範囲を書面で明確化する
・権限移譲後は月1回程度、管理職との1on1で意思決定の状況を確認し形骸化を防ぐ
「丸投げ採用」に潜む法的リスクと組織課題
RPO規制強化で問われる自社の意思決定力
採用代行への丸投げは罰則リスクだけでなく「任せられる管理職」不在も映し出す
採用業務を外部の採用代行(RPO)に全面委託する「丸投げ採用」が転換点を迎えている。2026年3月、東京労働局は求人票の掲載代行や面接日程調整といった定型業務は許可不要とする一方、候補者属性に応じたスカウト文面の作成・送信や応募者のスクリーニングについては職業安定法第30条に基づく「有料職業紹介事業」の許可が必須であるとの見解を示した。無許可でこれらの業務を委託した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる。一方でAI面接ツールの普及が進む中、新卒採用の内定辞退率は60〜65%台の高水準で推移し、大手企業の50〜54%が「内定辞退が想定より多かった」と回答している。社会保険労務士の松田美里氏は、今回の規制について「業界を締め付けるものではなく、どこまで外部委託でき、どこからが自社の意思決定領域かを明確化するもの」と説明している。記事では対応策として、採用データによる目詰まりの可視化、RPO委託費から現場マネジャーのトレーニングへの予算転換、事業部長を採用プロセス設計段階から巻き込むことの3点が挙げられている。
出典:ビジネスジャーナル
今回の規制強化は、単なる法令違反リスクの話ではありません。根本的な問題は、採用の意思決定を外部に委ねた結果、社内に「良い人材を見極める目」を持つ管理職が育たなくなっていたことです。中小企業では採用担当が総務と兼任のケースが多く、外注化によって一時的に負担は軽くなりますが、同時に現場のマネジャーが人を見る経験を積む機会も失われます。これは新卒の内定辞退率が高止まりしている一因ともいえます。AI選考も同様で、判断を機械に委ねるほど、管理職自身の目利き力は育ちません。経営者が見落としやすいのは、採用の外注化がコスト削減である一方、次世代の管理職育成の機会を同時に手放しているという点です。対応の方向性は、外注費の一部を現場マネジャーの面接トレーニングや評価基準のすり合わせに振り向け、事業部長クラスを採用プロセスの設計段階から巻き込むことです。採用業務を「任せられる管理職」を育てる仕組みへと転換する好機として捉えるべきでしょう。
【企業の対応アクション】
・自社が委託している採用代行業務が「有料職業紹介事業」の許可対象に該当しないか、
委託先の許可の有無とあわせて確認する
・スカウト文面の作成や応募者のスクリーニングを外部委託している場合は、
契約内容と自社側の関与プロセスを見直す
・直近の応募者データ(歩留まり・内定辞退率)を洗い出し、選考プロセスのどこで
人材が離脱しているかを可視化する
・採用代行費用の一部を、現場マネジャー向けの面接・見極め力向上研修へ振り向ける
予算配分を検討する
・次回の採用計画から、事業部長・現場責任者を採用プロセス設計の初期段階に参加させる
「管理職になりたい」はわずか16.6%
その低迷は意欲ではなく組織設計の問題
「管理職離れ」は社員のやる気の問題ではなく経営者が放置してきた組織設計のツケである。
正社員に「管理職になりたいか」を尋ねた調査で、「なりたい」と回答したのはわずか16.6%にとどまった。この低迷傾向は世代を問わず広がっており、特に40代では「なりたくない」との回答が62.0%に達している。管理職になりたくない理由の第1位は「責任が重い」で、男性28.5%、女性39.7%が回答した。一方、待遇への不満である「割に合わない」は男性で2位(26.5%)、女性では4位(16.7%)にとどまり、待遇面より責任の重さへの忌避感が上回った。調査を行った研究機関は、管理職離れについて「個人の意欲の問題ではなく、組織設計の結果」と分析している。
出典:日本の人事部
この調査が示す最も重要な点は、管理職離れの主因が「待遇」ではなく「責任の重さ」だったことです。多くの経営者は問題を給与や手当の設計、つまり金銭的インセンティブの不足と捉えがちですが、実際の課題はそこではありません。「責任が重い」という回答の裏には、管理職に何を任せ、何を任せないのかが曖昧なまま、権限のない責任だけが積み上がっている組織の設計不全があります。中小企業では特に、管理職が現場実務とマネジメントを兼務し、意思決定の裁量を持たないまま結果責任だけを負わされるケースが少なくありません。これは「管理職を増やす」努力では解決しません。むしろ好機と捉えるべきは、管理職という役割そのものを経営者自身が言語化し直すタイミングだということです。何を権限移譲し、何を経営が引き取るのか。この線引きを再設計することが、次の管理職候補の不安を解消し、組織が自律的に回る土台になります。
【企業の対応アクション】
・管理職の業務内容と権限範囲を棚卸しし、可視化する
・現場責任者に委譲する意思決定の範囲を明文化する
・管理職候補者に対し早期から役割期待を伝える機会を設ける
・現任管理職が仕事のやりがいを語れる場を意図的に設計する
・評価制度に、管理職の裁量行使を反映する項目を追加する
猛暑の屋外作業命令、改正法が問う管理職の判断基準
「今日は危険」を誰が判断するか、その仕組みが会社を守ります
労働安全衛生規則の改正により、2025年6月1日から熱中症対策が企業の法的義務となりました。WBGT(暑さ指数)が28度以上、または気温31度以上の環境で、連続1時間以上、あるいは1日合計4時間を超える作業が見込まれる場合が対象です。企業には、体調異変が生じた際の報告体制の構築、作業離脱や身体冷却の手順の確立、緊急搬送体制と連絡網の整備が求められます。安全配慮義務は労働契約法5条にも定められており、酷暑日の屋外作業については、屋内化や延期、時差出勤などを優先的に検討することが必要とされています。対応コストの軽減策として、エイジフレンドリー補助金、業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金などの公的支援策も活用できます。
出典:Yahoo!ニュース
今回の改正で問われているのは、規則を知っているかどうかではありません。「今日は危険」という判断を、誰が、どの基準で下すのかという意思決定の仕組みそのものです。多くの中小企業では、この判断が現場責任者の経験や勘に委ねられたままになっており、判断者が不在の日や、判断に迷う場面で対応が遅れるリスクを抱えています。今回の法改正は、こうした属人化した判断を仕組みに落とし込む好機と捉えるべきです。判断権限を誰に、どこまで委ねるのかを明文化することは、単なる熱中症対策にとどまらず、管理職に現場運営を任せられる組織へと変わっていく第一歩になります。経営者がすべての判断を抱え込む状態から抜け出し、管理職が自ら意思決定できる仕組みを整えることこそ、今回のニュースが経営者に投げかけている本質的な問いです。
【企業の対応アクション】
・WBGT28度以上または気温31度以上の日の作業中止・変更基準を就業規則に明記する
・現場での作業可否を判断する権限者を役職単位で明確にする
・体調異変時の報告ルートと緊急搬送の連絡網を書面化し全社員に周知する
・屋内作業への切替や時差出勤の運用ルールを管理職と共同で設計する
・エイジフレンドリー補助金等の活用可否を確認し導入コストを試算する
「残業減少格差」に見る管理職・シニア層への負担集中の実態
若手の残業は減ったのに、なぜ管理職の残業だけ減らないのか
パーソル総合研究所の調査によると、2018年から2026年にかけて正社員の残業時間は全体的に減少しました。メンバー層は月平均23.8時間から17.1時間へ、上司層は32.7時間から23.7時間へ、それぞれ減少しています。ただし年代・性別で見ると減少幅に差があり、男性20代は月10.4時間減少した一方、男性50代の減少幅は3.4時間にとどまりました。調査は、企業による労働時間管理の厳格化が残業減少の主因であるとした上で、シニア層に残業が残る背景として、調整業務や突発対応、チーム統括業務がシニア層に偏っていること、30代以降で実質賃金の伸びが停滞し残業代への依存度が高まっていることなどを指摘しています。
出典:パーソル総合研究所
働き方改革というと「残業を減らす取り組み」という認識で止まっている経営者が少なくありませんが、今回の調査は「誰の残業が減ったか」まで見なければ実態を見誤ることを示しています。中小企業では管理職の数が少なく、一人が担当する範囲が広いため、若手の残業を制限すればするほど、その分の業務が課長・部長クラスに流れ込みやすい構造があります。結果として管理職本来の役割である部下育成やマネジメントに割く時間が奪われ、組織全体の生産性が下がるという逆効果が起こり得ます。さらに、管理職は残業代の対象外となるケースが多く、負荷が増えても賃金に反映されないため、モチベーション低下や管理職候補の「昇進忌避」につながる点も見落とされがちです。実務対応としては、残業時間の削減目標を若手だけでなく管理職層にも設定し、業務の再配分や権限委譲を並行して進めることが重要です
【今すぐやるべき対応】
・管理職層の残業時間・業務内容を定期的に可視化し、偏りを把握する
・若手の残業削減で生じた業務の受け皿を管理職任せにせず、業務分担表を見直す
・管理職手当の水準が業務負荷に見合っているか点検する
・課長・部長へのマネジメント研修や1on1で負荷状況を確認する仕組みを設ける
・昇進候補者に対し、管理職の負担軽減策とセットでポジションを説明する
森永製菓「20年ぶり人事改革」に学ぶ、中小企業が管理職を任せられる組織になるための条件
大企業の人事改革のニュースを見て「うちも見直さなければ」と焦っていませんか。
森永製菓は2025年4月、約20年ぶりとなる大規模な人事制度改正を実施しました。終身雇用や年功序列の歪み、雇用流動化や人手不足の進行を背景に、管理職への昇格に必要な年数を最短3年短縮し、従来37歳だった最速昇格年齢を34歳に引き下げました。号俸制度を導入し、昇給の基準を見える化したほか、250のキーポジションについて職務記述書を全社公開し、目指すべきポジションと必要なスキルを明確にしました。さらに、マネジメント職に依存しない「フェロー」「シニアエキスパート」などの専門職等級を新設し、56歳だった役職定年も廃止して、全員が定年まで現等級を維持できる制度に改めました。制度設計にあたっては70回にわたる対話会を実施し、現場の声を反映したとされています。
出典:日本の人事部
この改革は注目に値しますが、専任の人事部門と予算、そして70回の対話会という体制があってこそ実現したものです。中小企業が同じ枠組みをそのまま模倣すると、制度は立派だが運用が回らないという状態に陥りやすく、注意が必要です。特に役職定年の見直しは慎重な判断が求められます。東京商工リサーチの2025年6月調査によると、役職定年制度を導入している企業の割合は大企業で41.0%である一方、中小企業では17.8%にとどまります。森永製菓のニュースは「廃止」が話題になっていますが、そもそも多くの中小企業は年齢で一律に役職を外す制度自体を持っていません。廃止を検討する以前に、自社に同様の制度があるかどうかを確認し、人件費の体力に応じて判断することが重要です。250ポジション分の職務記述書を整備するという取り組みも、人事の専任者がいない中小企業にそのままあてはめることは現実的ではありません。給与テーブルの整備自体は約9割の企業で進んでいる一方、それを全社に公開している企業は約4割にとどまるのが実態です(リクルート調査)。開示の範囲は重要ポジションから段階的に広げていく発想が現実的でしょう。中小企業が学ぶべきは制度の規模ではなく、その背景にある思想です。管理職という一本道だけに頼らない評価の枠組みや、役割期待を言葉にして共有すること、現場の声に耳を傾ける対話の機会は、企業の規模を問わず着手できます。一方で、評価業務の負荷が増えることへの現場の抵抗、制度を複雑にしすぎることによる形骸化、導入後のフォロー不足は、よくある失敗のパターンです。自社の体力に合わせて段階的に取り入れる視点を持ってください。
【今すぐやるべき対応】
・自社の人事体力(人員・予算・専任担当の有無)を棚卸しし、全面導入ではなく縮小版から着手する
・全ポジションではなく、自社にとって重要な5〜10程度のキーポジションに絞って役割期待を文書化する ・役職定年は廃止を即決せず、対象年齢の引き上げや待遇の運用緩和など段階的な見直しから検討する
・評価者となる管理職向けに、評価基準のすり合わせと面談スキルの研修を実施する
・年1回からでも経営者と現場社員が直接対話する場を設け、制度変更への納得感を作る
若手が辞める本当の理由
“優しい会社”でも定着しない組織構造とは
経団連の調査研究では、若年社員の早期離職の背景として、「成長実感の欠如」「キャリア不安」「コミュニケーションの断絶」「管理職の育成疲弊」が相互に連動している実態が示された。単なる待遇改善ではなく、“成長できる組織設計”そのものが問われ始めている。
・経団連は、若年社員の活躍推進に関する報告書を公表し、企業の9割超
が若手育成・定着に課題を感じていると整理した。
・背景として、若年労働力の減少により、若手人材の希少化が進行してい
る。
・一方で、若手社員の価値観は多様化しており、「長く勤めたい」「転職し
たい」「仕事中心」「私生活重視」など志向が二極化している。
・報告書では、若年社員活躍を阻害する課題として、①リアリティ・ショ
ック、②成長機会・実感の減少、③キャリアパスの不透明さ、④コミュ
ニケーションギャップ、⑤管理職の育成行き詰まり、の5点を整理してい
る。
・特に、管理職側では「自分の頃と同じように育てられない」が34.4%、
「若手育成と労働環境改善の両立が難しい」が31.4%に達している。
・また、ハラスメント懸念等から、若手に十分な負荷や挑戦機会を与えら
れず、“叱れない・任せられない”状況が発生している。
・その結果、「ゆるい職場」であっても若手が成長実感を持てず、離職につ
ながるケースがあると指摘されている。
・経団連は対応策として、リアルな採用情報提供(RJP)、オンボーディン
グ強化、キャリア形成支援、ジョブクラフティング、タテ・ヨコ・ナナメ
のコミュニケーション強化等を提言している。
日本の人事部の記事です
今回の報告書で重要なのは、「若手が弱くなった」という話ではなく、“育つ構造が崩れている”という点を、経団連自身が整理したことです。従来は、「まずは現場で鍛える」「見て覚えろ」「忙しい中で成長する」という構造で人材育成が成立していました。
しかし現在は、残業抑制・ハラスメントリスク・管理職のプレイング化・コミュニケーション減少・OJT機会減少によって、“自然に育つ構造”が崩壊しています。
その一方で、多くの企業はまだ「最近の若手は…」「主体性がない」「打たれ弱い」という“個人要因”で問題を捉えています。しかし本質は逆です。
若手が成長実感を持てないのは「任せる設計」「相談できる設計」「キャリアが見える設計」が組織内に存在していないからです。
特に中小企業では、
・管理職育成不足
・評価基準不明
・OJT属人化
・相談相手不足
が重なることで、「人が育たない→辞める→さらに育成余力がなくなる」という悪循環に入りやすくなっています。今後は、単なる福利厚生や待遇改善だけでは定着しません。“成長できる実感”をどう設計するかが、定着率の分岐点になります。
【今すぐやるべき対応】
・1on1を「業務確認会」にしない
・指示の背景説明を増やす
・若手の意見表明を否定しない
・「従順=優秀」という前提を見直す
・会社への一体化を強要しない
・価値観の違いを前提にマネジメントする
・管理職へ対話型コミュニケーションを教育する
・「適切な距離感」を許容する文化をつくる
「一体感を強要する組織」が優秀人材を潰す
“心理的距離”という新しい組織マネジメント
「組織への強い帰属意識=良い組織」という前提が崩れ始めています。大橋重子氏の研究では、“組織と適切な距離を保つ人材”ほど、自己効力感や主体性が高い傾向が示されました。
大正大学 地域創生学部准教授の大橋重子氏は、「個人と組織の心理的距離」に関する研究を通じて、従来型の“強い一体感”中心の組織運営に警鐘を鳴らしています。これまで企業では、
・理念浸透
・帰属意識向上
・組織コミットメント強化
が重視されてきました。しかし、
・M&A増加
・組織改編頻発
・多様な雇用形態
・価値観の多様化により、「全員が同じ熱量で組織に一体化する」という前提そのものが難しくなっています。
研究では、従業員の組織との関わり方を、
・組織に近づく
・組織から離れる
・距離を置き保つ という行動パターンで整理しています。特に注目されるのが、「距離を置き保つ」という行動です。これは単なる冷めた態度ではなく、組織理解・自己理解・主体的な対話を行いながら、“適切な距離感”を自ら調整する高度な行動とされています。
また研究では、“距離を置き保つ人材”ほど、仕事満足度、自己効力感、キャリア成熟度が高い傾向も確認されています。
【ニュースの要約】
・「強い一体感」が必ずしも良いとは限らない
・M&Aや組織変更で“会社への絶対忠誠”が成立しにくい時代
・従業員の価値観や働く目的は多様化している
・心理的距離には「近づく」「離れる」「距離を置き保つ」がある
・「距離を置き保つ」は主体的な関係調整行動
・適切な距離感を持つ人材ほど主体性が高い
・一律の理念浸透や同調圧力は逆効果になり得る
・管理職には“対話型マネジメント”が求められる
日本の人事部の記事です
この内容は、今の中小企業の組織課題と非常に重なります。近年、「最近の若手は会社への帰属意識が低い」という相談は増えています。しかし実際には“会社が嫌い”なのではなく、「距離感を自分で調整したい」だけのケースも少なくありません。
特に現在は、・副業・転職一般化・キャリア自律・リモートワークなどにより、「会社中心人生」を前提にしたマネジメントが合わなくなっています。ここで危険なのが、管理職側が、もっと会社を好きになれ・もっと一体感を持て・空気を読めという方向へ進むことです。
これを強めるほど、主体性の高い人材ほど離れていきます。逆に、背景を説明する・意見を聞く・対話する・距離感を尊重する組織ほど、自律型人材が定着しやすくなります。
つまり今後は、「管理する組織」から、「関係を調整する組織」へ変わる必要があります。
特に30~100人規模では、“社長文化”が色濃く残りやすいため、同調圧力・空気文化・暗黙ルールが強くなりがちです。しかし、その状態では、次世代人材ほど定着しにくくなります。これからの管理職に必要なのは「従わせる力」ではなく、「対話しながら関係をつくる力」です。
【今すぐやるべき対応】
・1on1を「業務確認会」にしない
・指示の背景説明を増やす
・若手の意見表明を否定しない
・「従順=優秀」という前提を見直す
・会社への一体化を強要しない
・価値観の違いを前提にマネジメントする
・管理職へ対話型コミュニケーションを教育する
・「適切な距離感」を許容する文化をつくる
中途採用は「即戦力だけ」では失敗する
企業規模で分かれた“採用で本当に見ているもの”
中途採用では「専門スキル重視」が全体傾向となる一方、中小企業では
「定着意欲」「柔軟性」「成長意欲」を重視する傾向が強いことが、カオナビHRテクノロジー総研の調査で明らかになりました。“採れる人”より、“組織に残り機能する人”を重視する流れが強まっています。
カオナビHRテクノロジー総研は、直近1年間に中途採用を実施した企業の採用担当者300名を対象に、中途採用実態調査を実施しました。
調査では、採用人数・採用コスト・採用手法・重視する人材要素などが分析されています。
全体では・「専門スキル」・「定着意欲」・「問題解決力」が重視される傾向となりました。一方で企業規模による違いも鮮明です。
大企業では、専門スキル・マネジメント経験など“即戦力性”を重視する傾向が強く見られました。
これに対し中小企業では・定着意欲・成長意欲・柔軟性・カルチャーフィットなど、“組織適応性”を重視する傾向が強く出ています。
特に1~99人規模では、「専門スキル」以上に「定着意欲」が重視される結果となりました。
【ニュースの要約】
・中途採用実施企業の約5割は年間採用人数1~10名
・採用コストは「500万円未満」が約45%
・採用手法は「求人媒体」「自社サイト」「人材紹介」が中心
・大企業はスキル・管理経験重視
・中小企業は「定着」「柔軟性」「成長意欲」を重視
・小規模企業では「定着意欲」が最重要項目
・“即戦力だけでは定着しない”現実が見えている
・採用基準は「会社規模・組織フェーズ」で変わる
カオナビHRテクノロジー総研の調査結果の記事です
この調査は、中小企業ほど「スキルだけでは組織は回らない」という現実を示しています。実際の現場では、高スキル人材を採用しても・周囲と協調できない・指示待ちになる・既存社員と衝突する・すぐ辞めるという問題は珍しくありません。
特に30人未満規模では“一人の影響力”が極めて大きいため、採用失敗が組織全体へ直撃します。そのため中小企業では・柔軟性・定着意欲・価値観適合・自走力が重視されやすくなるのは自然です。また、近年は、「即戦力採用疲れ」も起きています。即戦力を高コストで採用しても・短期離職・カルチャーミスマッチ・管理職との衝突が発生すると、結果的に組織負荷が高まります。そのため今後は「何ができるか」だけでなく、「どのように働くか」を見る採用へ移行していく可能性があります。
特に中小企業では、“採用=組織づくり”です。単なる欠員補充ではなく、どんな組織にしたいか・どんな文化をつくりたいか・誰に任せられる組織にしたいかまで含めて、採用基準を設計する必要があります。
【今すぐやるべき対応】
・「自社が重視する採用基準」を明文化する
・スキル以外の評価項目を整理する
・定着人材の共通特徴を分析する
・面接評価基準を統一する
・カルチャーフィット確認項目を作る
・早期離職者の共通点を分析する
・管理職ごとの採用判断ブレを減らす
・「採用=組織づくり」という視点を持つ
副業時代の採用は“見えないリスク”との戦いになった
働き方のブラックボックス化で企業責任が変わる
副業普及により、企業は「どのように働いている人か分からないまま採用する時代」に入りました。労働時間通算・競業・情報漏洩・安全配慮義務など、採用時点から企業リスクが始まる構造へ変化しています。
副業・兼業の普及に伴い、企業の採用リスク構造が大きく変化しています。これまで企業は「一人の従業員=一つの会社で働く」ことを前提に労務管理を行ってきました。
しかし現在は、企業で勤務、・副業と本業の並行、業務委託との兼業、リモートワーク拡大などにより、企業から実態が見えにくくなっています。
特に問題視されているのは、
・労働時間通算
・割増賃金
・競業避止
・情報漏洩
・安全配慮義務
などのリスクです。記事では「知らなかった」ではなく「知り得たか」が問われる時代になっていると指摘しています。そのため、履歴書や面接だけでは把握できない“実態情報”を確認する手段として、リファレンスチェックの重要性が高まっているとしています。
【ニュースの要約】
・副業は一般化し、採用リスク構造が変化している
・企業は他社労働時間を把握しづらくなっている
・割増賃金や長時間労働問題が複雑化
・競業・利益相反・情報漏洩リスクも増加
・面接だけでは実態把握が難しくなっている
・「知り得たか」が企業責任として問われる時代へ
・採用は“人材確保”だけでなく“リスク管理”の側面が強まっている
・リファレンスチェックの重要性が高まっている
CDRMC(一般社団法人企業リスク防衛管理会)の記事です
中小企業では、「人が来てくれるならありがたい」という採用状況が続いています。そのため、副業状況の確認不足、労働時間管理不足、兼業リスク未確認のまま採用してしまうケースは少なくありません。しかし今後は「採用できた」ことより、“採用後に問題が起きないか”がより重要になります。
特に中小企業は、管理職不足、管理担当不足、情報管理体制不足、が起きやすいため、問題発生時の影響が大きくなりやすい特徴があります。一方で、副業人材自体は、高度専門人材、、即戦力人材不足職種補完として有効なケースも多くあります。
そのため重要なのは、「副業を禁止すること」ではなく、“副業前提で管理できる組織へ変わること”です。
例えば、
・副業申告ルール・競業確認・情報管理ルール・労働時間確認方法
・業務委託との線引き・採用時確認項目
などを整理しておく必要があります。
また本質的には、「誰が何時間働いているか分からない」状態でも回るよう、
・業務標準化
・役割整理
・成果基準の明確化
を進めていくことが重要になります。副業時代は、「長時間会社にいる人を管理する時代」ではなく、「多様な働き方でも成果を出せる組織を作れるか」が問われる時代になっています。
【今すぐやるべき対応】
・副業・兼業ルールを就業規則で整理する
・副業申告制度を整備する
・競業避止・情報管理ルールを明確化する
・採用時確認項目を見直す
・労働時間把握方法を整理する
・管理職へ副業労務リスク教育を行う
・成果基準を明確化する
・属人化を減らし、複数人で回る業務設計へ見直す
働き方改革をしても現場は楽になっていない。
理想の働き方を阻む「人手不足」と「業務過多」の実態
ALL DIFFERENT株式会社らが実施した調査によると、ビジネスパーソンの約6割が「この5年間で働き方に対する価値観は変わっていない」と回答しました。
一方で、理想の働き方としては「プライベートと両立しやすい働き方」が最多となり、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強く表れています。
しかし、その理想を阻む要因として最も多かったのが「業務過多や人手不足」でした。また、「人手不足による業務負荷の増加」があった人の約8割が、物理的または精神的な負担増加を感じていることも判明しています。
さらに、会社に求める制度・環境では「給与・待遇の充実」が最多となり、物価高や将来不安を背景に、処遇改善への期待も高まっていることが分かりました。
【ニュースの要約】
・制度導入だけでは、現場負担は減っていない。
・理想の働き方を阻む最大要因は「人手不足」。
・社員は「制度があるか」より「実際に使えるか」を見ている。
・管理職への業務集中が、組織疲弊を加速させている。
・賃上げだけでなく「両立しやすさ」「休息」「心理的負担軽減」が求められている。
・“制度を作る”段階から、“制度が回る組織を作る”段階へ移行している。
ALLDIFFERENT株式会社の記事です
この調査で最も重要なのは、「制度導入=働きやすさ向上」ではない。という現実です。
特に中小企業では、人手不足、属人化、管理職不足、教育不足が重なり「制度を回す余力がない」状態になりやすいです。その結果、現場では「制度はあるけど使えない」「休みづらい」「結局誰かが負担する」「管理職だけが疲弊する」。いう状態が起きます。
つまり今後は、“制度を作る”段階ではなく、“制度が回る組織を作る”段階。に入っています。特に重要なのは、
・業務の棚卸し。
・属人化解消。
・役割整理。
・管理職育成。
・AIやITによる業務削減。
など、「現場負荷そのものを減らす設計」です。単なる福利厚生競争ではなく、
“無理なく働ける組織構造”を作れる企業が、今後の採用・定着で強くなっていくと考えられます。
【今すぐやるべき対応】
・業務量と人員配置の見直し。
・属人業務の洗い出し。
・管理職業務の棚卸し。
・1on1による現場負荷確認。
・AI・IT活用による定型業務削減。
・制度利用率ではなく「現場負担」をKPI化。
・「働きやすさ」と「生産性」の両立設計。
企業変革は「情報発信」では動かない
動かすのは15%の“ポジティブ・ミドル”だけ
株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:松本 千里)は、国内電通グループ5社の横断組織として人的資本領域の成長を支援する「dentsu Japan Human Capital Growthセンター」と連携し、企業に勤める全国20~59歳の600人と経営層100人、ミドルマネジメント層2200人の計900人を対象に、第3回「企業の変革に関する従業員意識調査」(以下「本調査」、調査期間:2025年11月20日~21日)を実施しました。
本調査では、企業変革が進まない要因として「情報は伝わっているが行動に移らない」構造が明らかになったと指摘しています。
調査では、約7割が「変革の情報発信はされている」と回答する一方で、実際に行動できている従業員は約2割にとどまっており、理解と行動の間に大きなギャップが存在しています。
また、変革に消極的な層は約半数に達し、その理由として「社内で浸透していない」「人事評価につながらない」が挙げられており、制度と評価の連動不足が行動を阻害していることが示されています。さらに、変革を推進する中核人材は約15%にとどまり、その中でも前向きに変革を推進する「ポジティブ・ミドル」が鍵となる可能性が示唆されています。
・変革推進層は15.3%にとどまる
・変革に消極的な層は約半数
・約7割が情報発信はされていると認識
・実際に行動できているのは約2割
・変革しない理由は「浸透不足」「評価に反映されない」
・ミドル層は経営と現場で評価にギャップあり
【ニュースの要約】
・「理解しているが動かない」が最大ボトルネック
・変革は構造的に“他人事化”する
・評価制度と連動しない変革は動かない
・ミドルが変革の接続点になっている
・AI活用は進むが本質課題は未解決
電通の調査に関する記事です
このニュースの核心は非常にシンプルです。企業変革は「伝達」ではなく「設計」の問題であるという点です。7割が、情報は来ていると答えています。しかし、行動しているのは2割です。これはつまり、情報の問題ではなく構造の問題です。
最も多い層は
・必要性は理解している
・でも自分は動かない
層です。これは能力の問題ではなく関与設計の失敗です。
従業員は冷静です。
・評価されない
・意味が分からない
・だから動かない。
つまり、動かないのが合理的な状態になっているということです。
重要ポイントはここです。
・経営は評価している
・現場は評価していない
このギャップです。つまりミドルは、上から押される、下から信頼されないという構造にあります。ここが詰まると組織は絶対に動きません。
15%の変革推進層の中でも「前向きに動くミドル」鍵です。これは言い換えると、変革は全員でやるものではなく、伝播させるものということです。
【今すぐやるべき対応】
変革内容を評価制度に紐づける
・「やる理由」ではなく「やるメリット」を明確化
・ミドルの役割定義を再設計
・現場への翻訳機能をミドルに持たせる
・変革を「業務」に落とし込む(抽象禁止)
・推進層を特定し、組織的に増幅させる
新入社員の7割が「情報が分からず自信喪失」
離職はスキル不足ではなく“情報設計ミス”で起きている
本記事では、新入社員の多くが社内情報の所在不明により業務が止まり、自信喪失や離職リスクにつながっている実態が明らかになったと指摘しています。
特に、85.6%が「情報の場所が分からず手が止まった経験あり」、74.8%が「仕事に向いていないと感じた経験あり」と回答しており、単なる業務効率の問題ではなく、心理面への影響が大きいことが示されています。
また、情報アクセスのしやすさは86.5%が「定着意向に影響する」と回答しており、オンボーディングにおけるナレッジ環境の整備が、定着率を左右する重要な要素となっているとされています。
【ニュースの要約】
・85.6%が情報の所在不明で業務停止を経験
・74.8%が「自分は向いていない」と感じた経験あり
・86.5%が情報アクセスと定着意向は関連すると回答
・約4割が1日15分以上を情報探索に費やす
・約8割が質問に心理的ためらいを感じている
トヨクモの記事です
このニュースの本質は明確です。離職は人の問題ではなく、構造の問題で起きているという点です。
多くの企業はこう考えています。ちゃんと教えているし、OJTもやっていると。しかし実際には、一度聞いたら終わり、再確認できない、という状態のことが多いです。つまり問題は教育ではなく再現可能性の欠如です。
新入社員は、分からない、探せない、聞きづらいという状態に置かれます。その結果、
「自分ができない」と錯覚します。これは非常に重要で、実際は、情報設計の問題を個人能力の問題に転嫁している状態です。
データで出ている通り
・74.8%が「向いていない」と感じる
・86.5%が定着意向に影響
つまり、離職は条件ではなく、自己効力感の崩壊で起きている。ということです。
質問できない理由のトップは「もう一度聞くのが申し訳ない」これは、属人化、属人教育の典型的な副作用です。つまり、人に依存した組織は必ず詰まる構造です。
企業は、マニュアルを作る、ツールを入れる、ここで止まります。しかし重要なのは
・どこにあるか
・どう探すか
・どれが最新か
つまり、情報の導線設計です。
【今すぐやるべき対応】
・業務マニュアルの一元化(散在の排除)
・検索性を前提としたナレッジ設計
・「最新版が一つしかない」状態の構築
・新人が一人で業務完結できる導線設計
・質問前提ではなく自己解決前提の仕組み化
・情報更新ルールの明確化(誰がいつ更新するか)
家族手当も非正規に同等支給へ
同一労働同一賃金が“手当の構造”まで踏み込む段階に入った
厚生労働省は2026年4月、同一労働同一賃金の指針を初めて改正しました。
今回の改正では、契約社員やパートタイム労働者など非正規労働者に対しても、一定条件を満たす場合には正社員と同等の手当を支給するよう求めています。
対象となるのは、継続的な勤務が見込まれる短時間労働者であり、家族手当・無事故手当・住宅手当などが具体例として示されました。
2026年10月から適用され、労働局による指導の基準として運用されます。
【ニュースの要約】
・非正規労働者にも家族手当などの支給を求める指針に改正
・対象は契約社員、パート、派遣、スポットワーカー等
・継続勤務が前提であれば正社員と同等支給が原則
・住宅手当・無事故手当なども対象に含まれる
・正社員確保目的の待遇差は不合理とされる可能性
・正社員の待遇引き下げで調整することは望ましくないと明記
・違反時は罰則なしだが是正指導が急増
日本経済新聞の記事です
今回の改正は、単なる制度変更ではなく、企業の人件費設計そのものに影響する転換点です。これまでの同一労働同一賃金は、基本給、賞与が中心でした。しかし今回の改正は、家族手当・住宅手当・各種手当に踏み込んでいます。つまり、賃金制度の細部までチェックされる段階に入ったということです。
今回のポイントは明確です。「継続的に働くか」「一時的な労働か」ここで扱いが分かれます。パートであっても、契約更新を繰り返している、実質的に長期雇用であれば、正社員と同様の扱いを求められる可能性が高いです。
多くの企業で見られるのが
・昔からある手当
・理由が曖昧な支給基準
です。この状態は極めて危険です。なぜなら
・説明できない=不合理と判断される
からです。
企業は「コストが上がる」と捉えがちですが、本質は違います。問題は、なぜその手当を出しているのか、誰に出すべきなのか、という設計の論理性です。
今回明記された重要ポイントは「正社員確保のための待遇差はNG」です。つまり、
・正社員だから手当あり
・非正規だからなしという構造は、説明できなければ崩れます。
【今すぐやるべき対応】
・全手当の目的と支給基準の棚卸し
・正社員/非正規での差の理由を言語化
・「継続勤務」基準の明確化
・説明可能な評価・処遇制度への再設計
・人件費ではなく制度ロジックで整理
・労働局調査を前提とした運用見直し
管理職が機能しない本当の理由|
中小企業は「部下のフォロワーシップ」を設計すべき
管理職の成果は能力だけでは決まりません。
部下の行動と認識がマネジメントの質を左右しています。。
リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、管理職は仕事にやりがいを感じる一方で、切迫感や疲弊感も同時に抱えている実態が明らかになりました。また、管理職は部下を「信頼できる」「チーム・プレイヤー」といった肯定的な存在として認識している傾向があるものの、主体的に組織を支えるフォロワーシップ行動については十分に多いとは認識していない状況が確認されています。
さらに、管理職が「積極的に支援するメンバーが多い」と認識している場合には、育成支援や関係構築、権限委譲といったマネジメント行動に対するやりがいが高まり、成果実感や適応感も向上する傾向が見られました。一方で、そのような認識が低い場合には、同じメンバーの行動であっても、管理職のやりがいや心理状態にネガティブな影響を与える可能性が示唆されています。
このことから、管理職のマネジメントの質は個人の能力だけでなく、部下の行動とそれに対する認識、すなわちチーム全体の相互作用によって形成されていることが明らかになりました。
【ニュースの要約】
・管理職はやりがいと疲弊感を同時に抱えている
・部下に対する認識は全体として肯定的
・フォロワーシップ行動は十分に多いとは認識されていない
・「積極的支援メンバーが多い」と感じるほどやりがいが高い
・成果実感や適応感も同様に高まる傾向
・批判的行動の影響は状況により異なる・管理職の状態はメンバーの行動と認識に左右される。
リクルートマネジメントソリューションズの記事です
管理職の育成に頭を悩ませている経営者は多いと思います。そんな方々にご参考にしていただける記事です。管理職個人の問題として捉えるのではなく「チーム設計の問題」として考えよう!という提案です。
今回の結果は「部下の状態」で管理職の成果が変わることを示しています。つまり
「 管理職は単体では機能しない」構造です。特に重要なのは「積極的支援(フォロワーシップ)」「関係性の質」です。これがあると管理職は機能しますし、逆にこれがないと 管理職は疲弊するだけです。つまり「任せられる組織」は管理職ではなくチームで作るものという前提で対策を考えると良いと思います。記事にもある通り管理職とメンバーの相互作用に着目した組織づくりが求められています。
【今すぐやるべき対応】
□ フォロワーシップの定義を明確にする
□ 部下の役割を言語化する
□ 管理職と部下の関係性を設計する
□ 権限委譲のルールを整備する
□ チームで成果を出す仕組みを作る
人手不足はAIで解決できるのか|中小企業は「人材再配置と育成設計」が必要
経営トップの約6割が人手不足の解決策としてAIを選択。
一方で「人が余る職種」と「足りない職種」の分断が進んでいます。
日本経済新聞の調査によると、約6割の経営トップが人手不足の解決手段として生成AIの活用を挙げており、AIが労働力の一部として定着し始めていることが明らかになりました。実際にITエンジニアなど一部職種では、AIによる代替が進み、人手不足感が緩和されています。
一方で、技術・設計などの高度専門職や、建設・生産現場といった現業職では人手不足がむしろ深刻化しており、職種間の需給ギャップが拡大しています。今後は、余剰となる職種から不足する職種への「労働移動」が大きな課題となります。
また、将来的には事務職の余剰と専門職・現業職の不足が同時に進む見通しであり、企業にはAI活用と並行して人材の再配置やリスキリングを含めた人材戦略が求められています。
【ニュースの要約】
・約79.9%の企業が人手不足を感じている
・58.3%の経営トップが人手不足対策として「生成AIで代替」を選択
・AI活用の回答は前回調査から大幅に増加している
・ITエンジニアの人手不足感は低下している
・コード生成など定型業務はAIで代替が進んでいる
・「技術・設計」職の人手不足は増加している
・建設・生産現場など現業職の不足も拡大している
・将来は事務職が余剰、専門職・現業職が不足する見通し
・労働移動の必要性が指摘されている
・副業を認める企業は84.5%に達している
・副業のメリットは「成長・モチベーション向上」
・副業の懸念は「労働負荷の増大」が最多
日本経済新聞社の記事です
・人手不足が慢性化している企業
・DX・AI導入を進めている企業
・事務職が多い企業
に特に参考にしていただきたい記事です。
記事が提示している本質は「人材配置の崩れ」と言えるでしょう。AIの導入により、不要になる業務と残る業務がはっきり分かれてきました。その結果 「余る人」と「足りない仕事」が同時に発生しています。多くの企業は、採用で解決しようとするか、AIで効率化しようとすると思いますが、それだけでは解決しません。本質的に必要なのは「人をどこに配置し直すか」という設計です。さらに、育成の仕組みがない、スキル転換ができない企業では AI導入が人材の分断に繋がりかねません。つまり 「AI導入」ではなく、「人材再設計」こそが必要です。
【今すぐやるべき対応】
□ 自社の業務を「AI化できる業務/できない業務」に分ける
□ 人材を「余剰/不足」で棚卸しする
□ 配置転換の方針を決める
□ リスキリング対象を明確にする
□ 管理職に人材再配置の権限を持たせる
□ 副業・兼業のルールを整備する
管理職のAI活用で部下が育たない理由
中小企業は「育成とAIの使い方」を設計すべき
課長の約7割がAIを活用する一方で、部下の思考力低下への懸念が顕在化。
AI時代のマネジメントは「効率化」ではなく「育成設計」が問われています。。
株式会社タバネルは、全国の課長クラスの会社員198人を対象に、「課長のAI活用実態調査」を実施しました。課長クラスの67%が生成AIを月に数回以上活用しており、業務のスピードや質の向上を実感していることが明らかになりました。特に、部下へのフィードバックや育成アドバイス、人事評価コメントの作成など、マネジメント業務への活用が進んでいます。
一方で、AIの普及により「部下のアウトプットの判断が難しくなる」「AIに依存して思考力が育ちにくくなる」といった懸念も浮き彫りになりました。
今後は、管理職自身のAI活用だけでなく、部下の適切なAI活用をどう導くかが、新たなマネジメント課題となっています。
【ニュースの要約】
・課長の67%が生成AIを月に数回以上活用している
・週に数回以上利用している層は51%に上る
・マネジメント業務では「フィードバック」「育成アドバイス」が主な活用領域
・AI導入により「業務スピード向上」「成果物の質向上」が実感されている
・一方で「AIの確認・修正に時間がかかる」との声もある
・「自分で考える時間が減った」と感じる層も存在する
・AI活用により「意思決定の質向上」を期待する声がある
・一方で「部下の思考力低下」「AI依存」を懸念する声がある
・AI未活用層は変化を感じていない割合が高い
・今後はAIリテラシー教育の重要性が指摘されている
株式会社タバネルの記事です
・管理職がAIを使い始めている企業
・若手社員の育成に課題がある企業
・評価・フィードバックが属人化している企業
に特に参考にしていただきたい記事です。
この記事が伝えているのは「AIの問題」ではなく「育成設計の不在」と捉えるべきです。
・AIは便利なツールとして導入
・使い方は個人任せ
・育成との接続がない
という状態になっている企業は多いのではないでしょうか。結果「AIで答えは出るが、考えなくなる」状態が生まれます。本来、AIは思考を代替するものではなく、思考を深めるための補助です。しかし現場では「早く答えを出すツール」として使われており、ここにズレが生じやすいです。
また管理職も
・フィードバックをAIに頼ったり、評価コメントをAIで作る等により「育成の質」ではなく「作業効率」を優先してしまう恐れがあります。
問題は「AIをどう使わせるかの設計がないこと」です。
AIは人を育てません。「どう使わせるか」を設計した会社だけが、人を育てられます。
【今すぐやるべき対応】
□ AI利用ルール(禁止ではなく使い方)を定める
□ 「AIを使った後に説明させる」運用を導入する
□ 思考プロセスを評価する仕組みを作る
□ 管理職向けにAI×育成の研修を行う
□ フィードバックはAI任せにしないルールを設ける
□ 部下に「なぜその答えか」を説明させる
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