人手不足の本当の理由は何か
社員のスキルを最大限引き出すためのヒント

「組織への帰属意識」は本当に必要か
                                             
“心理的距離”が高い社員ほど、自律的に成長する理由

 「会社への一体感を高めれば組織は強くなる」
 そう信じられてきた時代がありました。しかし今、過度な帰属意識や同調圧力が、逆に社員の主体性や成長を止めている可能性が指摘されています。 
 大正大学 地域創生学部の大橋重子准教授は、従来の「組織コミットメント」や「理念浸透、」とは異なる視点として、「個人と組織の心理的距離」という概念を提唱しました。
記事では、M&Aや組織再編が当たり前になったこと、多様な働き方・雇用形態が混在していること、若手世代の価値観が変化していることなどを背景に、「全員が同じ方向を向く組織モデル」は限界を迎えていると指摘しています。
 
そのうえで、社員が組織と適切な“心理的距離”を保ちながら働くことが、自己効力感、キャリア成熟度、仕事満足度の向上につながるという調査結果を紹介しています。
 
従来の組織論では、組織への愛着、忠誠心、一体感、理念浸透を高めることが望ましいとされてきました。しかし現在は、M&A、配置転換、多様な雇用形態、副業、キャリア自律などにより、「会社との関係性」は以前より流動的になっています。そのため、「全員が同じ熱量で会社にコミットする」という前提そのものが崩れ始めています。
 
記事では、社員の行動を以下の3つに整理しています。
 
① 組織に近づく
 
会社に同調するタイプ。ただし中には、「波風を立てたくない」「安全な立場を確保したい」という理由で、表面的に従順になっているケースもあると指摘されています。
 
② 組織から離れる
 
仕事と私生活を完全に切り分けるタイプ。飲み会には参加しない、業務外連絡を遮断する、必要最低限だけ関与するなどの特徴があります。ただし、必ずしも不真面目というわけではなく、「組織との距離感を限定したい」という価値観の問題だと説明されています。
 
③ 距離を置き保つ
 
今回、特に重要視されているのがこのタイプです。この層は、組織の目的を理解しようとする、自分のキャリアも考える、納得できない時は質問する、意見を論理的に伝えるという特徴があります。つまり、「従順ではないが、無責任でもない」という、自律型人材です。

 

式会社ライフ&ワークスは、20代〜40代の女性コンサルタント・システムエンジニア500名を対象に、「女性コンサル・SEの働き方実態調査」を実施しました。

 調査では、柔軟な働き方を希望する理由として、
・「心身の健康・ワークライフバランス」70.5%
・「趣味や自己研鑽の時間確保」45.8%
・「育児・子育て」29.1%
が上位となり、柔軟な働き方のニーズが“育児支援”だけではないことが明らかになりました。また、時短勤務利用者の47.1%が、
・プロジェクトマネージャー
・管理職
・経営参画 
などPM以上のキャリアを希望していることも判明しています。一方で、
・通常勤務者への罪悪感
・キャリアパス制限への不安
・周囲への遠慮
を感じる割合も高く、制度はあっても「使いづらい」現場課題が浮き彫りとなりました。

【ニュースの要約】

・柔軟な働き方の最大理由は「育児」ではなく「健康・ワークライフバランス」
・“時短勤務=キャリア志向が低い”とは言えない
・時短勤務利用者の約47%がPM以上を希望
・制度利用時の「罪悪感」「遠慮」が大きな障壁
・企業には制度整備だけでなく“風土改革”も求められる
・「働き方」と「評価」が連動して不利益にならない設計が重要

Dmenuの記事です

女性IT人材は「時短=キャリアダウン」を望んでいない
                                                              
柔軟な働き方の鍵は“制度”より“組織運用”

 株式会社ライフ&ワークスは、20代〜40代の女性コンサルタント・システムエンジニア500名を対象に、「女性コンサル・SEの働き方実態調査」を実施しました。
 調査では、柔軟な働き方を希望する理由として、
・「心身の健康・ワークライフバランス」70.5%
・「趣味や自己研鑽の時間確保」45.8%
・「育児・子育て」29.1%
が上位となり、柔軟な働き方のニーズが“育児支援”だけではないことが明らかになりました。また、時短勤務利用者の47.1%が、
・プロジェクトマネージャー
・管理職
・経営参画 
などPM以上のキャリアを希望していることも判明しています。一方で、
・通常勤務者への罪悪感
・キャリアパス制限への不安
・周囲への遠慮
を感じる割合も高く、制度はあっても「使いづらい」現場課題が浮き彫りとなりました。

【ニュースの要約】

・柔軟な働き方の最大理由は「育児」ではなく「健康・ワークライフバランス」
・“時短勤務=キャリア志向が低い”とは言えない
・時短勤務利用者の約47%がPM以上を希望
・制度利用時の「罪悪感」「遠慮」が大きな障壁
・企業には制度整備だけでなく“風土改革”も求められる
・「働き方」と「評価」が連動して不利益にならない設計が重要

Dmenuの記事です

 この調査で重要なのは、「制度があるか」ではなく、“制度を使った人が不利にならないか”です。中小企業でも、時短勤務制度、在宅勤務制度、柔軟シフトを導入する企業は増えています。しかし実際には、
・評価されにくい
・責任ある仕事を任せてもらえない
・昇進対象から外れる
・周囲に気を遣う
という状態になっているケースは少なくありません。
特にIT業界だけでなく、人手不足が深刻な中小企業全般で、
「辞められるくらいなら制度を用意する」という発想は増えています。ただ、本当に重要なのは、制度を“置くこと”ではなく、「その人が戦力として活躍し続けられる設計」です。
例えば、
・短時間でも成果を出せる役割設計
・評価基準の明確化
・業務の属人化解消
・情報共有の整備
・マネジメントの再設計
が伴わなければ、結局は現場負担だけが増え、「制度利用者 vs 現場」という対立構造が生まれます。逆に言えば、業務整理、役割分担、成果基準の明確化、ナレッジ共有が進んでいる会社ほど、柔軟な働き方と組織成果を両立しやすくなります。

 今後は、「長時間働ける人を評価する組織」ではなく、「限られた時間でも成果を出せる組織」へ転換できるかが、人材確保・定着の大きな分かれ目になるでしょう。

【今すぐやるべき対応】

・時短勤務者や在宅勤務者の評価基準を明確化する

・「勤務時間」ではなく「成果」で評価する仕組みを整備する

・柔軟な働き方利用者の昇進・キャリアパスを明示する

・業務の属人化を防ぐため、マニュアル・情報共有を整備する

・管理職に対して「柔軟な働き方マネジメント」の教育を行う

・制度利用時の“罪悪感”や“遠慮”が生まれない組織風土を見直す

・短時間勤務者でも責任ある仕事を担える役割設計を行う

・育児支援だけでなく「健康」「自己研鑽」も含めた柔軟な働き方を検討する

紹介している記事に表れている事象の多くは「 組織設計の問題」であることが多いです。
当事務所では、
・意思決定の整理
・管理職の役割設計
・業務の標準化
・AIによる再現化 
を通じて、組織が自走する仕組みを構築します


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現在の状態を整理したい方は「組織診断(30分)」をご利用ください
・なぜ組織が回らないのか
・何から手をつけるべきか
を明確にします。

「学ばない社員」が過半数時代へ。“静かな退職”が進む組織で起きていること。

 パーソル総合研究所の「働く1万人の就業・成長定点調査 2026」によると、勤務先以外で学習や自己啓発を「何もしていない」と回答した正社員は53.6%となり、調査開始以降で最高を更新しました。
 また、学習行動の入り口ともされる「読書」をしている割合も低下傾向にあり、全年代で“学習離れ”が進行しています。
 
特に50代では、「何も学習していない」と回答した割合が男女ともに最も高く、男性61.3%、女性58.3%となりました。
 更に、管理職になりたいと考える正社員の割合は過去10年で最低水準となり、最低限の業務のみを行う「静かな退職(Quiet Quitting)」を選択する正社員の割合も過去最多となっています。

【ニュースの要約】

・自己啓発をしない正社員が過半数に達した。

・読書習慣も低下し、全年代で“学習離れ”が進行している。

・管理職志向が低下し、「責任を負いたくない」傾向が強まっている。

・“静かな退職”が増え、最低限だけ働く社員が増加している。

・背景には、「頑張っても報われない」という納得感不足がある。

・企業は“学べと言う”だけではなく、“学びたくなる組織”への転換が求められている。

日経womanの記事です

この調査は、単なる「勉強不足」の話ではありません。本質は、「努力しても意味があると思えない社員が増えている」。という点にあります。
 以前は、昇進、昇給、終身雇用、会社成長が、学ぶ動機になっていました。
 しかし現在は、「頑張っても給料が上がらない」「管理職になる方が損」「責任だけ増える」「将来が見えない」という感覚を持つ社員が増えています。
 その結果として、学ばない、挑戦しない、最低限だけ働く、という“静かな退職”が広がっています。これは本人の問題というより、組織側が成長実感を作れなくなっている”問題。とも言えます。特に中小企業では、評価基準が曖昧、育成設計がない、管理職育成不足、日々の業務に追われる、という状態が起きやすく、社員が「成長の意味」を見失いやすくなります。
 今後は、単に研修を増やすのではなく、「学ぶと仕事が変わる」、「成長すると任される」、「挑戦すると評価される」という“成長実感”を組織として設計できるかが重要になります。

【今すぐやるべき対応】

・評価制度と成長支援を連動させる。

・「何を学べば良いか」を明確化する。

・管理職の役割を“管理”から“育成”へ転換する。

・1on1でキャリア対話を行う。

・小さな成功体験を積ませる。

・AI活用など新しい挑戦機会を増やす。

・「頑張った人が報われる感覚」を再設計する。

AIで人がいらなくなるは本当か|中小企業は「育成機会の消失」に備えるべき

AIによる人員削減が注目される一方で、
真のリスクは「若手育成の機会消失」にあります。
未来の労働力が静かに空洞化する可能性が指摘されています

 AI導入を理由とした人員削減を掲げる企業が増える中で、その実態や効果に関する十分なデータが不足していることが問題視されています。いわゆる「AIウォッシング」と呼ばれる、従来のコスト削減をAIによる効率化と説明する動きも見られます。一方で、日本などアジアでは、AI導入が必ずしも雇用削減につながっておらず、むしろ人員を増やす企業も一定数存在しています。しかし、こうした表面的な議論の裏で、初級職や若手社員が担ってきた業務がAIに置き換えられることで、育成の機会が失われるという深刻な問題が指摘されています。
 
今後は、AIによる労働力補完と同時に、次世代人材の育成機会をどう確保するかが重要な課題となります。
ニュースの要約】
・AI導入を理由とした人員削減を掲げる企業が増えている
・AIが雇用に与える影響について十分なデータは存在していない
・「AIウォッシング」と呼ばれる動きが問題視されている
・日本ではAI導入後に人員を増やした企業も約3割存在する
・OECDは日本ではAIによる雇用喪失は限定的と指摘
・一方で初級職や若手業務のAI代替が進んでいる
・若手の育成機会が減少する可能性がある
・AIの誤出力(ハルシネーション)への人間の監督が必要
・熟練人材の経験がAIの判断を補完している
・若年層の雇用不安が社会問題化する可能性がある
・政府にはAI活用と雇用の関係の透明化が求められている

Bloombergの記事です

・AI導入を進めている企業
・若手採用を行っている企業
・OJT中心の育成をしている企業
に特に参考にしていただきたい記事です。

 

  「AIによる効率化」ではなく「育成機会の消失」をこの記事を伝えています。AIは「業務を効率化する」「作業を代替する」一方で「「経験する機会」を奪います。従来、
・若手は単純業務を通じて学び
・徐々に判断力を身につけていました
しかし、 その入り口がなくなっている、これが問題です。さらに、AIは万能ではなく「誤った出力「「現実と合わない判断」も多く存在します。それを見抜くには「経験」が必要です。つまり「育っていない人材はAIを使いこなせない」という逆転現象が起きます。これは
「 短期最適(効率化)と長期最適(育成)の衝突」です。短期最適によりすぎない様に注意が必要です。

 

【今すぐやるべき対応】
□ 若手の育成プロセスを見直す
□ AIに任せる業務と経験させる業務を分ける
□ 「考えさせる工程」を意図的に残す
□ AIの結果を検証する訓練を行う
□ 育成のための業務を設計する
□ 管理職に育成責任を持たせる

賃上げしても社員が辞める理由 中小企業は「給与の未来設計」を示すべき。

賃上げが進む中でも離職が止まらない原因は給与水準ではなく「将来の見通し」にある。

 インフレと人材不足が進む中、企業では初任給の引き上げやベースアップなど賃上げの動きが加速しています。しかし、その多くが若手層に集中していることから、中堅層の離職増加や育成の停滞といった新たな課題が顕在化しています。
 
また、従来は他社との給与比較が重視されてきましたが、従業員の就業意識に強く影響しているのは「将来の給与がどうなるか」という見通しであることが明らかになっています。特にインフレ環境下では、給与が据え置かれること自体が実質的な低下と受け取られ、離職リスクにつながる傾向があります。
 
このような背景から、企業には単なる賃上げではなく、給与の考え方や将来の方向性をどのように示すかという「報酬設計のあり方」が求められています。
 
【紹介記事の要約】
 
・賃上げは進んでいるが、若手層に集中している
 
・中堅層の離職増加や育成停滞が発生している
 
・従業員は他社比較ではなく「将来の給与」を重視している
 
・特に5年以内の給与見通しへの関心が高い
 
・給与が変わらない場合、下がる場合と同程度の離職リスクがある
 
・給与が上がらないと転職検討が増加する(特に若手層)
 
・「働く時間の柔軟性」や「給与決定の透明性」が定着に影響する
 
・給与の方針や将来見通しを示すことが不安軽減に有効とされている

パーソル総合研究所の記事です

 ・賃上げを実施しているが離職が止まらない企業
 ・若手と中堅のバランスが崩れている企業
 ・給与制度が不透明な企業
 に特に参考にしていただきたい記事です。
 「給与水準」ではなく「将来の見え方」が大切です。多くの企業は「いくら払うか」に注目していますが、従業員が見ているのは
 ・この会社で働き続けたらどうなるか
 
・自分の給与はどう上がっていくのか という“未来のストーリー”です、
 つまり、「金額」ではなく「納得できる見通し」が重要です。現場では、昇給基準が曖昧、評価と給与の連動が不明確、説明されていないという状態が多く、「将来が見えない会社」という認識につながっています。その結果 「今が悪いから辞める」のではなく 「先が見えないから辞める」という構造が生まれています。   
 給与は「今いくら払うか」ではなく「この会社で働き続けた未来をどう見せるか」がポイントです。


【今すぐやるべき対応(チェックリスト)】
□ 昇給の考え方・基準を言語化する
□ 3年〜5年の給与イメージを示す
□ 評価と給与の連動ルールを明確にする
□ 経営方針と報酬方針を接続する
□ 管理職に給与説明ができる状態を作る
□ 「なぜこの給与なのか」を説明できるようにする

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岡本 雅行

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中小企業の労務管理と人手不足解消をサポートする三軒茶屋の社会保険労務士